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医院運営

「あの人が辞めたら回らない」状態を減らすために決めること

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この記事の結論

「あの人が辞めたら回らない」のは、その人の能力の問題ではなく、その人しか知らない情報が院内に文字として残っていないことが原因です。止まると困る業務を書き出し、保管場所・手順・代わりにやる人を先に決めておくことから始めてください。

スタッフから退職の相談を受けたとき、院長が最初に思い浮かべるのは寂しさよりも「あの業務は誰が引き継ぐのか」という不安だ、という話をよく聞きます。 特に、施設への訪問ルートを一人で回していた衛生士、書類の流れをすべて把握していた事務のスタッフが抜けるとき、その不安は大きくなります。

離職を減らす取り組みは当然必要です。ただ、それとは別に、誰かが抜けても業務が止まらない状態を用意しておく作業があります。 この記事では後者、つまり医院側で先に決めておけることを書きます。

止まるのは「人」ではなく「その人しか知らない情報」

現場に入って引き継ぎを手伝うと、止まっている原因はほぼ同じところにあります。 手技や経験ではなく、その人の頭の中にしかない細かい情報です。

  • 施設ごとの訪問曜日と、変更したいときの連絡先
  • その施設で話を通すべき担当者が誰か
  • 同意書や報告書をどの形式で、いつまでに出しているか
  • 持ち出す器材と、戻したあとの片づけ方
  • 返戻が来たときに、どこを見て直しているか

どれも一つひとつは小さい情報です。ただ、これが文字になっていないと、後任は施設に電話をかけて確認するところからやり直すことになります。 引き継ぎに時間がかかっているように見えるとき、実際に時間を使っているのはこの再確認の部分だと考えています。

まず、止まると困る業務を書き出す

最初にやるのは、マニュアルづくりではありません。「この人が明日休んだら止まる業務」を紙に並べることです。

院長が一人で書くと抜けが出るので、スタッフ本人に「自分が休んだ日に、誰かに頼まないといけないことは何ですか」と聞くのが早いです。 本人は当たり前にやっているので言葉にしにくいのですが、休んだ日を想定してもらうと出てきます。

並べたら、頻度と、止まったときの影響で優先順位をつけます。全部を一度に整えようとすると途中で止まるので、上から 3 つだけ先に手をつける形で構いません。

業務ごとに決めるのは 4 つ

優先順位の高いものから、次の 4 点を決めて 1 枚に書きます。手順書というより、置き場所のメモに近いものです。

  • 置き場所:その業務で使う書類とデータがどこにあるか。紙とデータの両方
  • 手順:順番と、判断が必要な箇所。細かく書きすぎず、迷うところだけ書く
  • 相手先:連絡する先と、担当者の役職。個人名だけで書かない
  • 代わりにやる人:不在時に引き取る担当を、あらかじめ 1 人決めておく

4 点目が抜けている医院が多い印象があります。書き出しただけで担当を決めていないと、結局その日に手が空いている人がやることになり、やり方が人によって変わります。

置き場所と様式は、先にそろえておく

引き継ぎが重くなるいちばんの原因は、書類の様式が担当ごとに違うことです。 報告書のフォーマット、施設への連絡票、訪問の記録。それぞれが個人のやり方で作られていると、後任は内容ではなく形式から覚え直すことになります。

様式を 1 つに決めて、保存先も 1 か所に決める。この 2 つを先にやっておくだけで、引き継ぎにかかる時間はかなり変わります。 新しい仕組みを導入する前に、今あるものを 1 つにそろえるほうが先だと考えています。

仕組みをつくることは、冷たいことではない

マニュアル化や標準化と聞くと、スタッフを部品のように扱う印象を持たれることがあります。実際に現場で起きるのは逆のことのほうが多いです。

自分が休むと現場が止まる、と分かっている人は、休めません。

代わりにやる人が決まっていて、置き場所が共有されていれば、有給を取ることへの心理的な負担は下がります。 誰かが体調を崩したときに、残ったスタッフが残業で埋めるという形も減ります。 属人化を減らす作業は、辞める人への備えであると同時に、いま働いているスタッフの負担を下げる作業でもあります。

そして、退職の相談を受けたときに院長が慌てずに済むと、送り出し方も変わります。 これは経営上の効率の話であると同時に、医院の空気の話でもあると感じています。

まとめ

  • 止まるのは人ではなく、その人しか知らない情報。まずそれを文字にする
  • 「明日休んだら止まる業務」をスタッフ本人に挙げてもらう
  • 上位 3 つから、置き場所・手順・相手先・代わりにやる人の 4 点を決める
  • 報告書や連絡票の様式を 1 つにそろえ、保存先を 1 か所にする
  • 仕組みを整えることは、いま在籍しているスタッフが休める状態をつくることでもある

どの業務から手をつけるかは、医院の規模と、訪問と外来の比率によって変わります。 院内で洗い出しを進める段階から一緒に入る形をご希望であれば、外部事務長の関わり方をご覧ください。現場の業務を並べて、順番を決めるところからご一緒します。

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