外部事務長
忙しいのに利益が残らないとき、先に確認する4つのこと
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この記事の結論
忙しいのに利益が残らないときは、売上を増やす方法を考える前に、1日あたりの稼働の基準・1件あたりの経費・移動と段取りの時間・診療以外の作業の行き先の4つを数字で確認してください。この4つが見えていない状態では、どの施策が効いたのかも判断できません。
「毎日スタッフと一緒に回っているのに、なぜか利益が残らない」という相談を受けることがあります。 件数は増えている、スタッフも動いている、それでも決算を見ると手元に残っていない、という状態です。
こうしたとき、まず出てくるのは「もっと訪問先を増やそう」「単価を上げられないか」という話です。 ただ、その前に確認しておいたほうがよいことがあります。今の状態が数字でどう見えているか、です。 ここが見えないまま件数だけ増やすと、忙しさだけが増えて結果が変わらない、ということが起こります。
前提:保険診療は単価に上限がある
訪問歯科は保険診療が大半を占めるため、1件あたりで得られる収入には制度上の上限があります。 これは工夫で動かせる部分ではありません。したがって、収入側で動かせるのは基本的に件数のほうです。
算定の解釈を広げて単価を上げにいく方法は、おすすめしていません。 診療報酬は改定のたびに見直しが入りますし、根拠の弱い算定は返戻や指導の対象になり得ます。 伸ばすなら件数、守るなら算定の精度、と役割を分けて考えるほうが安全だと考えています。
1. 1日あたり何件回るかの基準があるか
利益が残りにくい医院で共通して見かけるのが、歯科医師・歯科衛生士の1日あたりの診療数やケア数について、医院としての基準がない状態です。 「行けるところまで行く」という運用になっていると、日によって件数が大きくぶれます。
基準は高く置く必要はありません。移動時間と現場の状況を踏まえて、無理なく回れる件数を先に決めます。 決めておくと、下回った日に「なぜ下回ったのか」を振り返る材料になります。基準がなければ、その振り返り自体ができません。
2. 訪問1件あたりの経費を出せるか
1回の訪問診療、1回の口腔ケアにいくらかかっているか。ここを出していない医院は少なくありません。
以前関わった医院では、現場から要望が上がるたびにケア用品や器材を追加していましたが、 1件あたりの原価としては誰も見ていませんでした。現場の要望自体は正当なものです。 ただ、口腔ケアで算定できる点数は決まっているので、材料と人件費が増えれば1件あたりの残りは減ります。
経費を削ればよい、という話ではありません。かけた分が何に効いているのかを説明できる状態にしておく、ということです。 購入の判断を院長一人が感覚で背負っている状態は、金額の大小に関わらず後で効いてきます。
3. 移動と段取りに使っている時間を数えているか
訪問歯科では、診療していない時間が1日の中で大きな割合を占めます。移動、駐車、施設での待ち時間、器材の積み下ろし。 ここは診療報酬に直接つながらない一方で、人件費は同じように発生します。
訪問先の順番を組み直す、同じ施設の患者さんを同じ日にまとめる、といった調整だけで動く部分があります。 まずは1週間分、移動と待ち時間がどれくらいあったかを記録してみることをおすすめします。
4. 診療以外の作業が、誰の時間に乗っているか
報告書、同意書、施設への連絡、レセプトの確認。これらは必要な業務ですが、誰の時間で処理されているかを把握していない医院があります。
多いのは、院長が夜間や休診日に持ち帰っている形です。この分は人件費として表に出てこないため、 帳簿上は利益が出ているように見えても、実際には院長の時間で埋め合わせている状態になります。 院長が抜けた瞬間に回らなくなる構造でもあるので、早めに可視化しておきたい部分です。
まとめ
- 単価には制度上の上限がある。動かせるのは件数のほうだと考える
- 1日あたりの診療数・ケア数の基準を、医院として決める
- 訪問1件あたりの経費を出し、購入の判断根拠を残す
- 移動・待ち時間を1週間分記録して、組み替えの余地を見る
- 診療以外の作業が誰の時間に乗っているかを可視化する
どこから手をつけるかは、医院の規模と現在の件数によって変わります。 自院の数字を並べるところから始めたい場合は、外部事務長の相談で、月次の数字と現場の運用を突き合わせて整理するところからご一緒します。
