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歯科と患者のコミュニケーション。外来と訪問で意識したい「顔」と「声」

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この記事の結論

外来では、顔を合わせる時間と、はっきり穏やかに話す声を大切にする。訪問では、ご本人に向き合って声をかけ、必要に応じて目線の高さを合わせる基本を、慣れてからも省略しない。

歯科のコミュニケーションについて、最近、外来の診療風景を見ていて気づいたことがあります。

患者さんと歯科医師が、顔を合わせて話す場面は、思っている以上に少ないのではないかということです。

患者さんから自分がどう見えているか。声はどう届いているか。外来と訪問では、その状況が違います。それぞれの場面に合わせて、立つ位置や声の出し方を意識することが大切だと感じています。

1.外来では、患者さんと同じ方向を向いて説明している

外来では、患者さんがチェアに座り、歯科医師はその横や斜め後ろにいる。私が見ている範囲では、その位置のまま、患者さんと同じ方向を向いて説明する場面が少なくありません。

画像やモニターを一緒に見るには自然な位置です。一方で、患者さんからは、説明している歯科医師の顔が見えにくくなります。

先生の方を向こうとしても、首を横や後ろにひねる必要がある。チェアに座った姿勢で、そのまま話を聞き続けるのは楽ではありません。

説明する側は普段どおりでも、患者さんは声を頼りに話を受け取っているかもしれません。

まず意識したいのは、この位置関係です。挨拶や治療方針の説明、質問を受ける場面では、患者さんの姿勢や体調に合わせて、こちらが顔の見える位置へ動く。診療の中に、顔を合わせて話す時間をつくりたいと考えています。

2.顔が見えにくいからこそ、声を丁寧に届ける

歯科医師は、マスクを着けて話す場面が多くあります。患者さんには口元が見えず、顔の向きによっては表情も十分に伝わりません。

だからこそ、普段より言葉をはっきりと発し、穏やかに、少し明るいトーンで話すことを意識したいと思います。

たとえば「次はここを治療します」という同じ言葉でも、声の調子や間の取り方によって、受け取る印象は変わります。作業に集中したまま短く説明すると、こちらの意図よりもそっけなく聞こえる可能性があります。

相手に届く声量で、言葉の区切りを明確にする。説明の途中で少し間を置き、患者さんが返事や質問をできるようにする。

同じ方向を向いて話す必要がある場面でも、声には「あなたに話しています」という姿勢を込められると思います。

3.訪問では、ご本人の顔が見える位置から始める

訪問歯科では、認知症のある方や、ベッドで過ごしている方と接する機会があります。

その方にも、ご本人に顔を向けて挨拶し、これから何をするのかを伝える。この基本を、毎回大切にしたいと考えています。

ご本人の顔の向きや姿勢に合わせて、こちらが見える位置へ移動する。必要に応じて腰を落としたり椅子を使ったりして、目線の高さを合わせる。

患者さんに無理な姿勢を取ってもらうことなく、こちらから向き合う工夫です。

山梨県の認知症対応の啓発資料でも、後ろから声をかけないこと、目線を合わせてやさしく話すこと、穏やかにはっきりと話すことが示されています。山梨県の資料・厚生労働省掲載

返事が少ないことや、言葉でのやり取りが難しいことを理由に、ご本人への声かけを省略しない。ご家族や施設スタッフから話を聞く際も、目の前のご本人に向き合う時間を持つ。

そこに、その人の尊厳を守る姿勢が表れると考えています。

4.細かな接し方を、ご家族や施設スタッフも見ている

訪問先では、診療中の振る舞いをご家族や施設スタッフも見ています。

ベッドのそばで、どこに立っているか。ご本人の顔を見て話しているか。どんな声で呼びかけているか。返事を待つ間があるか。

こうした細かなところからも、私たちが患者さんをどう扱っているかは伝わると思います。

もちろん、最初に大切にするのは、目の前のご本人です。そのうえで、自分たちの対応は周囲にも見えているという意識を持っておく。

自分が患者さんの家族だったら、この接し方をどう感じるだろうか。その視点でも、ときどき振り返る必要があります。

5.訪問に慣れるほど、最初の挨拶を振り返る

私が気になっているのは、こうした配慮が十分にできていない場面があることです。訪問経験が長くなり、現場に慣れる中で、ご本人に向き合う基本が軽く扱われていると感じることもあります。

顔なじみの患者さん、いつもの施設、慣れた診療の流れ。先の段取りが分かるからこそ、挨拶や説明、返事を待つ時間を無意識に短くしていないでしょうか。

こちらにとっては繰り返している仕事でも、患者さんはその日、その時間に診療を受けています。体調や気持ちも、毎回同じとは限りません。

訪問歴が長い人ほど、「今日は、ご本人の顔を見て挨拶したか」と振り返る。医院の中でも、経験年数にかかわらず確認し合えることが大切だと思います。

まとめ

外来では、患者さんから歯科医師の顔が見えにくい位置関係を意識し、顔を合わせる時間と、はっきり穏やかに話す声を大切にする。

訪問では、ご本人に向き合って声をかけ、必要に応じて目線の高さを合わせる。その基本を、慣れてからも省略しない。

明日の診療で、自分がどこから、どんな声で患者さんに話しかけているかを、一度確かめてみてください。

相手の顔が見える位置へ動くこと。声の調子を少し整えること。その小さな配慮を、日々の診療に残していきたいと考えています。

関連:歯科医院の外部事務長について

出典

診療報酬の点数や施設基準の要件は改定で変わります。実務にあたっては、 厚生労働省および地方厚生(支)局が公表している最新の告示・通知をご確認ください。

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